「社会人との練習試合で3球連続バックネットに…」元広島・今井啓介さん イップス克服からチーム初CS進出の戦力へ
かつて広島東洋カープで12年プレーし、この7月に鍼灸や運動塾などを展開する「カトレ奥沢」をオープンした今井啓介さん。
13年には球団初のクライマックスシリーズ(CS)進出に貢献するなど、プロ通算114試合に登板。17年に引退後は、専門学校に通い国家資格を取得し、鍼灸師として新たなスタートを切った。
本編では今井さんに現役生活や、カトレ奥沢のオープンまでを伺った。全3回のうち初回は、入団から2013年までを振り返る。
(取材 / 文:白石怜平)
入団1年目にイップスを発症し、2年間はその闘いに
新潟県出身の今井さんは、中越高校から高校生ドラフト2巡目で広島に入団した。入団当時はエース・黒田博樹投手に投球フォームが似ていることから”黒田二世”と話題を呼んでいた。
入団初年度のキャンプはファームでのスタートとなったが、当時ベテランの選手もファームにいたため、主力選手の練習を間近で見られる機会があった。その時に大きな衝撃を受けたという。
「その時は佐々岡(真司)さんや前田(智徳)さん・緒方(孝市)さんが二軍スタートでした。日が経つにつれて2人の打球であったり、佐々岡さんのコントロールもそうでしたし見た時の衝撃は今も鮮明に覚えています」
そんな中で始まったルーキーイヤー。まさにスタートを切った最中、実は途中で異変が起きてしまっていた。
「実は1年目の途中でイップスになってしまったんです」
イップスとはスポーツの動作に支障をきたしてしまい、自分の思い通りのプレーができなくなる運動障害であるが、プロ野球でも投手を中心に罹ってしまう選手が多くいる。
今井さんは当時18歳でイップスに罹ってしまった。その理由をこう語った。
「プロのレベルについて行くことに焦ってましたし、それで自分を見失ってからイップスになりましたね…社会人との練習試合で3球連続バックネットに投げてしまったこともありました」