【インタビュー】第7回 元横浜DeNAベイスターズ・黒羽根利規さん④

引き出しを増やしていくことで選手が上達

そして、午後に飯原へ連絡を入れ正式に栃木ゴールデンブレーブスにバッテリーコーチとして入団した。指導者人生のスタートとともに、NPBを目指す若い選手が多くいる独立リーグの世界に入ることになった。

15年もの間NPBでプレーし、レギュラーも務めた立場から見てやはりレベルのギャップは感じていた。正しいキャッチボールのやり方や捕り方・投げ方など一つ一つ教え込んだ。

栃木に在籍していた際、元メジャーリーガーたちの姿勢に感銘を受けたシーンがあった。その時のエピソードを語った。

「川﨑宗則さん、西岡剛さん(現:北九州下関フェニックス選手兼監督)の2人が『動いた後にも栄養を摂るのが大事なんだよ』ということで、選手たち全員に2人が自腹で軽食を用意してくれていたんです」

日本そして世界最高峰の舞台を経験してきた2人の行動は何よりも説得力があった。その後、必要性を認識した球団から軽食が提供されるようになったという。

黒羽根さんにとっては指導者デビューとなったが、教えることについてやりがいも増していったという。

「能力はあるけれども、考え方だったりとか練習の仕方など引き出しが少ないのでそこを増やすようにしていました。『今までそんなこと考えたことなかったです』という答えも多かったですが、そこを理解してもらうとどんどん上達するんです。僕も勉強させてもらいながら、選手たちもうまく活かしてくれたと思います」

知識を惜しみなく注入し、上達のヒントを与えていった(筆者撮影)

当時、栃木にはドラフト候補とされていた叺田本気(かますだ・もとき)や大坪亮介・秋庭蓮が在籍しており、捕手は充実したメンバーだった。黒羽根さんの指導でさらに技術を磨き、現在叺田と大坪はそれぞれオリックスとDeNAのブルペン捕手として先のステージで活躍している。

これらの指導実績も評価され、昨年秋に球団からは今シーズンのコーチ継続を依頼された。しかし、神奈川に家族を残し単身赴任していることもあり退任することになった。

今年1月、四国アイランドリーグPlusの高知ファイティングドッグスで臨時コーチを務めたのを最後に一旦ユニフォームを脱いだ黒羽根さん。

最終回は現在の活動や自身のこれからについて語った。

つづく

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