高千穂大学ではチームを強化し、NPBにも選手を輩出
05年の秋、指導者のキャリアにまた新たな経験が加わる。翌年から高千穂大学の監督に就任した。これも尊敬する先輩との縁からだった。
「田村藤夫さんから、『大学野球の指導者をやってみないか』という話をいただいたんです。大学野球も初めてなので興味もあったので、ぜひやりますということで決まりました」
高千穂大では監督代行そして監督として2016年度までの11シーズン、ユニフォームを着た。その間、当時東京新大学野球連盟2部だったチームを3季連続で優勝、4季ぶりに1部昇格へ導く。
教え子では高校時代に控え野手だった戸田亮さん(JR東日本ーオリックス)を投手への転向を勧め才能を開花させ、三ツ間卓也さん(埼玉武蔵ヒートベアーズー中日)もNPBへと輩出した。
部員の人数も就任当初は16人だったが、最大120人ほどにまで規模を拡大させた。ただ、強豪ではないため、高校時代に控えだった選手が大半。それでも野球が好きで続けたいという生徒を受け入れ、嶋田さんも一人一人真剣に向き合った。
「一番意識してしてやっていたことは、全員に声をかけること。常に80人以上はいたと思うんだけども、例えば『髪切っただろ?』とか些細な変化、コミュニケーションを取ることは大事にしていたので、会話していない・知らない選手は誰一人いなかったですよ」
また、大学生ということで社会に出る上で大切なことも教えていた。1時間のミーティングのうち、野球の話は20分ほど。残りの40分は今後社会人になるにおいて必要なことを伝えたという。
「『電車に乗るときにリュックサックは前にかけるんだぞ』といった社会で役に立つような話をしたね。あとは『優先席には積極的に座りなさい』と。
それはなぜかと言うと、席を譲れない大人が座るよりも君たちが座って、お年寄りの方や妊婦さんなど必要としている人が来たら必ず譲るんだよと。
卒業してから来てくれた子たちが『ノブさんの言っていたことがよくわかりました』と言ってくれる。社会に出てから分かってくれれば嬉しいですよね」
嶋田さんが贈った現役選手へのアドバイス
退任以降はバーの経営などを経て、現在はアスリートに特化した人材紹介などを行う企業で、体育会学生の就職支援を行うなど複数の仕事を回している。
多くの先輩や後輩に親しまれる明るいキャラクターで、60歳を超えても若々しさを保ち、アクティブに活動を行っている。そんな嶋田さんに現役選手に向けたセカンドキャリアの助言をいただいた。
「今は副業解禁の時代にもなっているので、収入の柱を2本でも3本でも持つことも大事じゃないかと思います。若い選手たちには、『自分が10年後に何をやっていたいか』を考えてみるもの大事だし、資金が必要であれば貯めておくなど、将来を意識しておかないと後々きつくなってしまうと思う」
これまで、日本ハム時代の先輩からの助言や人との繋がりもあり活躍の幅を広げてきた。その繋がりの中で欠かすことができないのが、大島康徳さんとの関係だった。
(つづく)
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