「”いかに投げるか”というのが守備」仁志敏久さん トクサンTVで語った考え方とプロの二塁手とは?

10月某日、大人気野球YouTubeチャンネル「トクサンTV」の収録が行われた。

今回のゲストは巨人・横浜(現:DeNA)で活躍し、今シーズンまでDeNAの二軍監督を務めた仁志敏久さん。トクサンが小学生時代からの大ファンと公言する憧れの選手との初コラボにテンションがMAXに。

>第1回はこちら

全3回の2回目は、ゴールデングラブ賞4回を誇る守備の考え方などにフォーカスした。

(文:白石怜平)

「何を自分が選んでどう理解するか」が大事

守備で打球への入り方や捕球時の動きについて解説した仁志さん。実際にノックでその動きを見せた。ハンドリングや軟式球独特の打球の跳ね方も難なく対応して見せ、ゴールデングラブ賞4回の技術に衰えは全く見られなかった。

その解説の中で、昨今現役選手や指導者が現代社会において口を揃えるかのように語る”情報収集”についても触れられた。

トクサンが「同じプレーは起こらないけど、似たようなプレーが起きる。その時に必要なのは情報であり引き出しである」というコメントに付随して現場の指導者を経験したことも踏まえて語った。

「いろんな技術をYouTubeなどで話されているので、1つの”カタログ”として見ればいいんじゃないかなって思います。子どもたちも見ていると思うし、プロの選手も若い子はみんなYouTubeを見ているんですよ。新しいものを見るとすごくいいって言う錯覚する人もいる。

たくさんある情報の見方についても触れた(トクサンTV内にて)

どんなに新しい理論が出てきても”ある1つの理論”と捉えないと、過去に○○理論って今は言われていないけれどもたくさんあったわけですし、その時に一生懸命やっていた人たちは何だったのかとなってしまう。たくさんある理論の中で”何を自分が選んでどう理解するか”が大事だと思います」

セカンドは”架空の存在”

ノックで難しい打球も余裕で捌く中、解説を続ける中で「ショートやサードでは同様の動きをしていたか」を問われると、捕球時の手の位置など、動きが異なると話した。

そして、その時に加えたのは「セカンドはキャッチャーの次に作らないといけないポジション」であるということである。その理由をこう語った。

「セカンドでプロに入ってくる選手って少ないんです。ショートやサードから回ってきたりするので、セカンドの選手としてつくり上げないと、元々は”架空の存在”なんです(笑)」

仁志さんもその一人。早稲田大学時代は遊撃手、日本生命時代は三塁を務めプロへと入った。巨人での1年目(96年)も後半から三塁で出場を続けており、年間通じて二塁手に定着したのは2年目からだった。

絶妙な例えを用いた”仁志語録”も見逃しなく(トクサンTV内にて)

”守備が苦手”な選手からのスタート

仁志さんの華麗な動きの中でも目立つのが捕球から送球までの速さ。流れの中で止まることなく行われる動作は見る者を魅了してきた。ただ、プロ入りの際に感じていたことは意外なものだった。

「実は、最初守備が苦手な選手として入ってきたんです」

それでも名手への階段を駆け上っていったのは、あのV9戦士の存在だった。

「(96年から98年まで一軍でコーチを務めた)土井(正三)さんがいろいろレクチャーしてくれて、セカンドを守れるようになったんです」

プロに入ってから本格的に二塁手へ挑戦した仁志さんの理想はボールが来た瞬間にはすでに送球がされているイメージ。収録の実演でもそれがまさに体現されていた。

「ボールを捕ってから動くんじゃなくて、来た時には投げる動作に入ってしまう・投げる動作の途中にボールが入ってくるイメージ。タッチでもそう(動作の途中にボールが入っている)です」

一般的には、まず捕球する・送球への準備をする・投げるというプロセスが踏まれる。捕球に失敗した際に、周囲からは”捕ってから!”と言われることもあるように、まず”捕る”に意識を置く傾向が強くなりがちだが、仁志さんの守備の考えは異なっていた。

「捕るというのは一番大事な投げる作業の手前にある少し大きな壁。”いかに投げるか”というのが守備なので」

動画内では具体的な動作解説も行っている(トクサンTV内にて)

守備の大切な考えにある”いかに投げるか”。ここについても分かりやすく説明してくれた。

「捕り方もそうだし、投げ方もたくさんあった方がいい。よく例えとして使うのが地下鉄の出口ってたくさんあった方が便利ですよね。それと同じことで、改札が捕る・出口が投げるというイメージ。両方がたくさんあるとよりスムーズにできます」

動画では、バリエーションが増えることにつながる足の使い方などを解説しているので、こちらもぜひご覧いただきたい。(つづく)

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