トクサンTVに初登場の仁志敏久さん ”攻撃的1番”が抱いていた理想の打球と04年復活劇の裏で行った改革の秘密

大人気野球YouTubeチャンネル「トクサンTV」に初登場した仁志敏久さん(前DeNA:二軍監督)。全3回のうち、2回は主に守備について取り上げた。

しかし、仁志さんは”攻撃的1番”とも称された打撃も魅力の一つ。最終回は、プロ入り後に描き追いかけた”理想の打球”、そして04年に復活を遂げた時に行った改革について明かした。

>第2回はこちら

(文:白石怜平)

プロ入り時に描いた理想の打球

仁志さんと言えば守備もさることながら、打撃も超一流である。NPB通算1591安打・154本塁打・541打点をマーク。各球団の4番を張ってきた打者が名を連ねるスター揃いの巨人の中で、リードオフマンを担ってきた。

うち3度本塁打20本以上をマークするなど、”攻撃的1番打者”として打線をけん引した。この日行ったロングティーでは鋭いライナーが外野の間を抜き、打撃も健在だった。

現役時代は、打撃についてある理想を抱いていたという。

「プロに入ってからそうなっていったと思いますが、”落ちない打球”を打ちたい。しっかり打ちぬいて強いライナーというのが一つ理想で、ただ子どもの時からクリーンアップを打つことが多かったんで、ボールを運ぶように打つような体の習慣があった。なので、よく言えば当たれば飛ぶし、悪く言うと荒っぽくもありました」

プロ通算1591安打の打撃は今も見ることができる(撮影:MOOSE SPORTS)

04年、28本塁打を放った裏で行った改革とは

長打力も持ち味だった仁志さん。「ホームランは狙っていたりしたんですか?」と問われると、「意外と言われるほど狙っていないんです」と答えた。

トクサンも思わず「狙っていなくて(04年に)28本塁打!?」と驚きのリアクションを見せた。この年は「飛ぶボールだったんで」と謙遜しつつ、これまでと変化を加えたところについて明かしてくれた。

ちなみに04年は現在でもプロ野球記録となるチーム本塁打数259本を記録し、長嶋茂雄・終身名誉監督から”史上最強打線”と名付けられた程の打線。

前年まで巨人の打線は、仁志さんの他にも高橋由伸選手・清原和博選手・二岡智宏選手・阿部慎之助選手・清水隆行選手・ロベルト・ペタジーニ選手らが軸を担っていた。さらに、小久保裕紀選手・タフィ・ローズ選手が加わったメンバーはどの打順からでも本塁打を狙える打線だった。

球界を代表する選手が揃う巨人でリードオフマン長く務めた(撮影:MOOSE SPORTS)

「これまでは前で”ガツン!”だったんですが、02、03年が怪我も多くて成績が下がってきた頃で、力を抜いて逆方向でやってみようとなったんです」

04年は28本塁打を放っているが、安打数もキャリアハイのシーズン176安打。打率も過去2年は.240台だったが、.289を記録している。下半身の動きなど解説を続ける中、体の回転についても守備の時同様に例えを用いて分かりやすく説明を加えた。

「外で回っているイメージではなく、体の中心軸で回した方がいい。コマを回すときには力を集約するから勢いよく回る。コマを回すように体を使う感じです」

ただ、回転だけを意識すると振り遅れるので注意が必要だという。

「僕の感覚で言うと”上から潰すように打つ”。両肘をギュッと上から引っ張り出すようにしていました」

ここで仁志さんへ質問が。上述の通り04年から逆方向を意識したというが、元々前で打っていたポイントをどこまで引き付けたのか。トクサンが「真逆じゃないですか!」と驚くほど大きく変えていた。

「(軸足である右足のライン上に)コンっと振り下ろすようなイメージです」(※)狙い球が絞れない時で、配球が読めた時はこれまで通り前で捌いていた

軸足の真下に振り下ろすイメージで引き付けていたという(撮影:MOOSE SPORTS)

その後はトクサンがロングティーを打ち、仁志さんからマンツーマンで打撃始動も受ける特別な時間となった。打ち終わった後、DeNAの二軍監督時に見ていた若い選手などの例も交えて大切なことをトクサンに伝えた。

憧れの仁志さんにトスを上げてもらった(撮影:MOOSE SPORTS)

「若い選手を見ていると(腰回りを示して)ここが使えない選手が多かったんです。強さも必要なのですが、柔軟性と使い方ですよね。例えば体重の乗せ方とか、乗せたときにバランスを取れるかどうか、回ったときに腰が入るかどうか。スイングは練習の中で習慣化させておいて、試合はスイングではなくて乗せ方とイメージです」

この後も指導者としての仁志さんの姿を見ることができるので、ぜひトクサンTVでチェックいただきたい。(おわり)

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