「10代で気づけたのは幸運だと思います」元巨人・谷内田敦士さん 引退後の活躍を支える”謙虚”と”感謝”のルーツ

巨人で育成選手として4年間プレーし、現在は「KSキャリア株式会社(ケイアイスター不動産グループ)」で活躍する谷内田敦士さん。

選手生活を通じて完全燃焼したと感じ、野球を”卒業”した。そして23歳の年に、大学出の新卒と同じタイミングでセカンドキャリアをスタートさせた。

今人材業界で活躍する谷内田さんに、現在の活動とともに現役選手に向けた引退後のアドバイスなどもいただいた。

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(取材 / 文:白石怜平)

12年、新卒と同じタイミングで就職

野球に一区切りをつけた谷内田さんは、不動産会社に就職。そこで社会人としてのマナーや基本を学んでいった。これまで野球一筋だった身。野球界を離れてほぼ全員が当たると言っても過言ではない最初の壁も、職場の方が丁寧にサポートしてくれた。

「最初は名刺交換やコピー機の操作など、1から教えていただきました。パソコンも使ったことがなかったのですが、『こういう裏技あるよ!』と教えてくれましたし、そういう環境に居れたのは恵まれていました。今でも先輩方と仲良くさせてもらっています」

社会人デビュー当時を思い起こした

谷内田さんが入社したのは23歳の年。つまり、大学を卒業して入る方々が同級生かつ同期であることだった。社会に出る時期も「僕にとってはいいタイミングでした」と語る。

仕事は不動産の管理業務で、その中でもリフォーム部門を担当していた。3年ほど勤め、建物により興味を持った谷内田さんは転職し更にステップアップをしていった。

「屋根にも登りましたし、水道工事や塗装などリフォームに関わることは全部やってましたね。現場で実際どう行われているかを見たかったんです。それがあってお客様にも提案できるので、営業兼現場監督兼作業員みたいな(笑)。オールマイティーにやれる環境へ挑戦しました」

建築業界から人材業界へのキャリアチェンジ

着実に経験を積み役職も得るなど、将来的な独立も視野に入れたキャリアプランも描いていた。ただ、その一方で別の挑戦への想いが芽生え始めていた。

「最初、不動産業界に入るにあたって自分は営業と思って入ったので、イメージとは異なっていました。幸い素敵な方達に恵まれて、建物を好きになれた。だけど、同じようなギャップに悩む人たちが多いと感じていました。

あと新卒で自社に入った後輩たちを見ていると、『彼は違う道の方がいいんじゃないか』などと思う人もいました。実際に悩みを抱えたり、3年足らずで辞めてしまう人が何人もいたので、『マッチしたフィールドを紹介してあげられないかな』と思ったのがきっかけでした」

捕手出身らしい広い視野で新たな道を開いた

そこから実際に行動に移した谷内田さん。警備会社で人事・採用担当としてキャリアチェンジを果たした。そこは野球選手としての経験も活かせる場であることもプラスだった。

「人事に携わりたいということで探しました。前職が会社としてスポーツ部門を広げていきたい方針があって、スポーツ系の人材を積極的に採用していました。学校の部活動に訪問するなど多角的にやりたいということで、ぜひ自分もと言って転職しました」

そこで採用としての経験を積みながら学校訪問で野球を教えるなど、野球人としても力を発揮した。ただ、プロアスリートの持つ向上心を常に絶やすことはなかった。

「今度はスポーツ関係の出身者や自分も含め、アスリートのセカンドキャリアを充実させたい想いが強くなりました。その挑戦をさせてもらえる環境ということで、現在のKSキャリアに入りました。今はアスリートの就職支援を積極的に推進していきたい、そう思って日々取り組んでいます」

アスリートとしての経験も活かし、フィールドを広げている(本人提供)

今の仕事についてはどんなところにやりがいがあるか、そこを訊いてみた。

「自分が発掘した企業さんに人材をお送りできた時は嬉しいです。そこに1年でも長く活躍してくれて、”この会社で学んだから次に活きている”となっていただきたいと思っています」

社会人としてキャリアを積んでいく一方で、野球人としての灯は消えていない。引退直後は中学生のシニアチームのコーチに就任し、約8年在籍していた。それ以外にも野球教室に積極的に参加し、自身も軟式チームでプレーを続けるなど、野球との縁は今も深く繋がっている。

「普及活動にも力を入れていまして、未就児の子に向けて野球・ソフトボールを使った遊びのイベントにも招待いただくなど、地域の保育園にも訪問しています。あとは学生野球資格も回復しているので、高校に指導へ行ったりもしています」

セカンドキャリアに向けた現役選手への助言

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