【インタビュー】第5回 元横浜ベイスターズ・森大輔さん①

「心機一転やり直す気持ちで」プロ入りを決断

本来ならばこれまでの通り快投を見せ、”複数球団による争奪戦”などとメディアを賑わせる存在になっていたはずだった。

しかし、ストライクを投げることすらもままならず四球を繰り返し、次第にアピールの場からも遠ざかってしまっていた。

そんな状態だったが、秋のドラフトでは当時の自由獲得枠で横浜(現:DeNA)ベイスターズへの入団が決まった。当然、森さんは「入っていいのだろうか」と悩んだ。

ただでさえ心身ともに孤独な状態な中、高校時代から続く”大人の事情”などがさらに拍車をかけ、当時21歳の才能ある若者は追い詰められる一方だった。

それでも、球団は「我々にはチームドクターやトレーナーもいるし、しっかりケアするから安心して来てほしい」と声をかけてくれた。

高校時代とは全く違う心境でプロへと入った

描いた夢、断念してからここまでの苦労、球団からの誘いなど踏まえて熟考した森さんはプロへの挑戦を決断した。

「ずっと思い描いていた夢が実現するわけですし、しかもここで入らなかったら間違いなくもう叶わないですよね。こうなったら心を決めて、環境が変わるので心機一転やり直そうという気持ちで入団を決めました」

ただ、その直後に発したフレーズが何よりの本音だった。

「でも不安だらけでした」

新入団発表で背番号「15」のユニフォームに袖を通した森さん。喜びに満ち溢れた笑顔でポーズを決めるところが、内心は笑顔をつくることなど到底できなかった。

「高校で”指名されたら行きたい”という気持ちと、社会人からドラフトで入るときの心境が全く違いました」

ほぼ現実になったはずの夢を自らの意志に反して手放さざるを得なくなった高校3年の秋。”3年後こそ必ずプロへ”という想いで階段を駆け上がってから一転、孤独と不安へと転げ落ちた社会人時代。

プロでリベンジストーリーを描くシナリオがすでに崩れていた。

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