【インタビュー】第5回 元横浜ベイスターズ・森大輔さん④

子どもたちの可能性を引き出す森さんの指導

森さんは長らくイップスの症状に苦しみ、選手生命を奪われた身である。少年野球から高校生まで幅広く指導する立場として、同じ思いはしてほしくないことを第一に考えている。

イップスの症状で悩む選手たちをなくすため、自身の経験を活かしている。

「今見ている子どもたちはイップスの症状はないと思うのですが、”コントロールを良くしたい”と言う子が多いです。その子たちには、僕は投球フォームではなく気持ちの部分だと思っています。

今僕が積極的にやってることはたくさん”褒めてあげること”です。子どもたちの魅力を一番に引き立てるためには、まず”野球が好き”という根本的な部分にアプローチする必要があると思います。

なので、”違うよ”というフレーズは使わない。”絶対できるよ”と背中を押してあげると子どもたちから『今僕、〇〇で悩んでいるんです』と自分たちから聞いてきてくれるからそこに答えると伸びていくんです」

子どもたちへの指導で大切なことを語った(本人提供)

言葉の力は大きい。特に子どもの時に大人から言われた言葉は、未来ある人生を良い方にも悪い方にも左右させてしまう。森さんも、社会人時代に受けた発言がイップスへと繋がった一つの原因でもあった。

そのため、言葉の力の重みは人一倍理解している。

「自発的に出てくる前に大人から発してしまうから子どもたちが混乱してしまうんです。例えば、練習試合でエラーや三振する子がいたとします。ベンチに帰ってきたら必ず褒めます。

『積極的に前に行ったからよかったよ』・『しっかり3回全力で振ったからOK』と言うと、『でも僕はこうでした』と意図を伝えてくれるので、『そういうことまで考えていたの?』と話すとみんな耳を大きくして聞いてくれますし、自分から聞いてきてくれるようになるんです。

その時こそが気持ちが強くなる時だし、一番上達する時だと考えています。僕は今そういった指導の考え方でやっていますね」

森さんの指導は”褒めること”、子どもたちの可能性を引き出すことを考えている。心の重要性を続けて説いた。

「心のイップスになったら大変なことになるので、一番はメンタルからです。プロの世界もそうですが、”イップス”という言葉で片付けてしまったら簡単です。でも、みんな元々は野球が好きでやってるし、そこをどうやって引き出すかが良い指導者だと思うんです。

今の時代は監督やコーチに相談できる環境を作ってあげないと上手くならないと思います。そうなると野球人口も減ってしまう。なので、僕は今子どもたちの声を拾っていきたいので、一生懸命取り組んでいます」

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