【インタビュー】第8回 元中日ドラゴンズ・石川駿さん ②

実践できぬまま終わった“プロの心得”

ルーキーイヤーのケガを乗り越え、プロ2年目の2016年に1軍デビューを果たした石川。当時、同じ二塁手でレギュラーだった荒木雅博氏(現中日ドラゴンズ内野守備走塁コーチ)からも“プロの心得”を教わった。

「『プロだから、今日の疲れはその日のうちにとりなさい』というのは言われました。」

だが石川には、それができなかった。

「1軍キャンプに参加して『レベルの違いを感じなかった』と言ったのが嘘になるかもしれないんですけど“休むよりも練習しないとダメだ”という気持ちがあって。

結局それが怪我につながると思うんですが、休む時間があるならバットを振りたいと思ってしまって、結局辞めるまで、それはできなかったです。」

「野球はおなかいっぱい」満足して終えた選手生活

3年目の2017年は初の開幕1軍スタート。シーズン終盤には1軍初のホームランを放った。5年目の2019年にはウエスタンリーグで首位打者賞、最高出塁率者賞、優秀選手賞を獲得するも、相次ぐケガの影響で1軍レギュラーに定着することはできないまま、6年目のシーズンを終えた2020年11月3日、戦力外通告を受けた。

「新聞などでも話した『野球はお腹いっぱいやらせてもらった』というのが、本当に素直な気持ち。戦力外通告を受けた時に、その場でトライアウトも受けませんと言いました。“野球を嫌いになった?”と受け取られた方もいたみたいですけど、それは全くなくて、“自分でやる野球”はもういいかな、って。」

「おなかいっぱい」満足して選手生活にピリオドを打った

1軍通算31試合、41打数10安打、1本塁打、6打点。6年間のプロ野球選手生活を振り返って、こう話した。

「なりたくてもなかなかなれない仕事ですし、100%プロに入ってよかった。満足のいく野球選手生活でした。」

おなかいっぱい自分の野球を満喫した石川は、野球を軸とした新たな人生をスタートさせる。

(つづく)

※掲載内容は2023年8月現在の情報です

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