元中日・石川駿さん 現在は「学生」と「指導者」の二刀流。「ケガで野球を諦める子どもを減らしたい」
中日ドラゴンズで内野手として6年間プレーした石川駿さん。現在は柔道整復師の国家資格取得を目指して専門学校に通う“学生”である傍ら、国士舘大学硬式野球部をはじめ、各所で野球の指導者としても活動している。
引退時「野球はもうお腹いっぱいです」と語った石川さんの野球人生とは―
最終回は、柔道整復師資格取得を目指す理由や指導者としての想い、今後のビジョンについて伺った。
【取材/文 中嶋絵美(フリーアナウンサー/フリーライター)以下、敬称略】
「野球選手としての人生を変える- そんな存在に自分もなりたい」
プロ野球選手生活を引退した石川の現在は“学生”だ。2021年4月から東京柔道整復専門学校に通い、柔道整復師の資格取得を目指している。
揺るぎない野球への想いと自身の経験から、資格取得を志したという。
「社会人時代に出会った柔道整復師の方に身体の使い方を教えてもらったことで、野球のスキルが一気に向上しました。その方に人生を変えてもらって、自分もそういう存在になりたいと思ったのが、資格取得を決めたきっかけです。野球を指導していく中で、身体を知ることってすごく重要だと感じたので。」
自分の経験を押し付けることはしない、指導者としての想い
一方で、真摯に野球と向き合う姿を周囲が見ていたのだろう、引退表明直後から指導者としてのオファーも絶えない。専門学校への入学と時を同じくして、富山県の社会人野球チーム・ロキテクノ富山に選手兼コーチ補佐として入団することが発表された。
「実際には99%コーチで、試合には1試合も出ていないし、練習もしていません。当時の伊東大輔ヘッドコーチが何度も名古屋まで足を運んで熱心に誘ってくださったので引き受けることにしました。」
自身が社会人選手時代に出場した都市対抗野球大会や社会人野球日本選手権大会をコーチとして目指す中では、過酷な環境の中で勝つことの難しさも感じたという。
「社会人野球でも各会社で環境って違って、ロキテクノはフルタイムで会社の仕事をして、練習をするのが18時から21時とか。僕の社会人時代は月に数回しか出社しませんでしたし、そういう意味ではすごく恵まれていたんだなと実感しました。
フルで働いてその後野球ができる彼らってすごいな、頑張っている彼らにいい思いをしてほしいな、という気持ちがありましたね。」
指導者としてのキャリアも着実に重ねており、ロキテクノのほか、愛知県高校野球の強豪・東邦高校の臨時コーチも担った。
現在も国士舘大学硬式野球部でコーチを務めるほか、全国各地で行われる野球教室にも精力的に参加して少年たちに指導をするなど、多忙な日々を送っている。
国士館大学での練習の合間に。指導者として心掛けていることを教えてくれた
「指導をする上で『自分がこれをやって上手くなったから』というのは絶対に言わない、やらないようにしています。それと、せっかく今身体のことを勉強しているので『解剖学的にはこうだ』って話をしたり。感覚で伝える方ってたくさんいると思うんですけど、きちんと言葉にして、万人に共通するようなことを分かりやすく伝えたいと思っています。」
初めての!?試験勉強も、野球と結びつければ「楽しい」
専門学校3年生の石川は、いよいよ2024年3月に国家試験を控える。「勉強は大変で、野球をやっている方がいい…」と笑うが、楽しさも感じているという。
「朝4時に起きて7時くらいまで勉強して。そこから電車に乗って学校へ行って、9時から12時半まで授業です。その後、大学に指導に来たりしています。
3年生になった今は、国家試験に向けて月に1回くらいテストがあって。今までありがたいことに野球で進学・就職してきたので、試験に向けてがっつり勉強するって初めてです(笑)
学生生活3年間、全て野球の指導に携わらせてもらっていて、“この筋肉が野球にはこうだ!”って置き換えて考えられるので、そういう面では楽しみながら勉強できているのかなと思います。」
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