【インタビュー】第6回 元広島東洋カープ・今井啓介さん③

「これが自分のタイミング」”前倒し”で開業へ

途中コロナ禍に見舞われながらも3年間学校に通い、国家試験も無事合格し21年3月に卒業した。勤めている鍼灸整骨院で腕を磨いていた中、さらなるステップアップを考えていた。

「それまでは指圧マッサージなどを行っていたのですが、アスリートに向けたスポーツマッサージですとまた少し手技が異なってきます。まだそこを学べていなかったので、スポーツマッサージ店にお世話になりまして、この5月まで勤めさせてもらいました」

リラクゼーションから始まり、自身もそうだったアスリート向けにも範囲を広げていた中、昨年末に今井さんはある大きな決断をした。自身のお店の開業である。

専門学校に通い始めた時から将来的な開業を見据えていた。ただ、「もう飛び込んだって感じです。満を持してというわけではなかったんです」とも語る。

昨年暮れに開業を決断した

自身で学ぶことに加えて仕事での実践を通じて、多くの方と関わる機会があった。会話をする中である共通点があったという。

「たくさんの方とお会いする機会もあり、自分の年齢(36歳)で起業してる方もいます。みんな口を揃えて言っていたのは、『そんな自信満々で飛び出したわけじゃない』と。

それを何度も聞かされた時、『今の考え方じゃダメだ』と。いつまで経っても開業できないし、自分のやる気次第なんだなと思った時に『これが自分のタイミングなんだ』と思い決断しました」

野球教室で感じた課題感とは

開業を決意した今井さんは、すぐに動き始めた。5月までの職場だった世田谷区で物件が見つかり、この奥沢が新たな”本拠地”となった。

提供するプログラムも元プロ野球選手の今井さんとタカラジェンヌ出身の妻・優子さんと”強力タッグ”が組まれたものになっている。

今井さんが選手経験などを活かして展開する「運動塾」「野球塾」そして引退後に学んだ治療分野での「マッサージ・鍼灸」。

優子さんが初心者向けの「ダンス教室」に「ヘッドスパ」と、いずれも女性限定となっている。

今井さんが担当する運動塾では、園児向けと小学生2学年ごとに分けた計4クラスの構成で、年代に合わせた指導を行う。競技に特化しない運動プログラムを導入したのにはあるきっかけがあった。

専門学校1年生から今年の5月まで、地元新潟県で野球教室の講師を務めていた。コロナ禍で実施できない期間もあったが、子どもたちと触れ合う中で、ある課題感を感じていた。

「親御さんからもお話を聞いたのですが、普段スマホやタブレットなどでゲームしていて1日何時間も画面を見続けていると。みんなで外で遊ぶ機会も減っているそうです。

数値を見ても現代の子どもたちは運動の数値が前より下がっているんです。実際に野球教室でも、基礎的な動きも良くなくてこのままだとどこか痛めるなと感じていました」

子どもたちと接する中で課題を抱いていた

そういった経験に加えてリラクゼーションや治療で多くの方と接した中で、方向性が決まっていった。

「なので、僕自身のメインとしては年齢やスポーツ選手など問わず”健康な体をつくる”ことを目指していきたいと考えています。体に困ってる人がどんどん来て、メンテナンスしたいと思っています」

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