おススメの野球映画②「陽だまりのグラウンド」「ワン・カップ・オブ・コーヒー」など

おススメの野球映画を紹介する記事の第2弾。
前回はこちらから(https://news.moose-sports.tokyo/movierecommend1/)

「陽だまりのグラウンド」
(監督=ブライアン・ロビンス、出演=キアヌ・リーブス、ダイアン・レイン)

大リーグの取材で米国シカゴに行ったとき、ホワイトソックスの本拠地USセルラーフィールド(現ギャランティード・レート・フィールド)でのデーゲームを終えると、すぐにオヘア空港に向かった。その日のうちにニューヨークに戻っておきたかったのだ。

タクシーに乗って急いでいる旨を伝えると、ドライバーは張り切って空いている裏道を爆走してくれた。見るからに治安が悪そうな地域もあって、不安に思いながら窓の外を見ているうちに、この映画を思い出した。

舞台はシカゴ。あまり裕福でない家庭の子どもたちは、毎日の生活に不安を抱きながら、野球をすることだけを楽しみにしていた。彼らが一歩ずつ成長していく姿を観ていると、スポーツに大切なのは、真剣に取り組むという過程であって、勝つという結果ではないと感じる。

そして、人々の生活の中で、スポーツは「希望」になる存在であってほしいと願う。

6月に亡くなった長嶋茂雄さんが座右の銘としていた「野球とは人生そのものだ」という言葉は、年を経るごとに重く感じられる。学童野球の指導者をした経験もある私にとって、この映画は涙なくして観られない。

「ワン・カップ・オブ・コーヒー」
(監督=ロビン・B・アームストロング、出演=ウィリアム・ラス)

ボブ・デュランに「One More Cup of Coffee」という曲がある。

「One more cup of coffee ‘fore I go」(私が去る前にもう一杯のコーヒーを)という歌詞が表現しているのは、「もう少し、もう少しの間だけ…」という意味だろうか。

アメリカのプロ野球界では、ほんの短い期間だけ大リーグに昇格した選手を「one cup of coffee」と称する。「ほんのコーヒーを一杯飲むだけの期間」という意味になる。

主人公はほんの3週間だけ大リーグに昇格したことがあり、その後はマイナーでプレーを続けている。その彼が、才能ある若手に自分のすべてを教えていくというストーリーである。

大リーグでは「The man」と呼ばれるカージナルスのスタン・ミュージアルにホームランを打たれているという設定になっている。

「メジャーリーグ」
(監督=デビッド・S・ウォード、出演=トム・べレンジャー、チャーリー・シーン)

大ヒット作品で、私も学生時代にリアルタイムで何度も観た。低迷していた1980年代のクリーブランド・インディアンス(現ガーディアンズ)を描いている。

フランチャイズ移転をもくろみ、新オーナーがチームの弱体化を目指し、ちょっと一癖ある選手ばかりを集める。しかし、選手たちが奮起して戦っていくストーリーである。

チャーリー・シーンが演じるノーコン投手のリッキーは、眼鏡をかけた途端にコントロールが良くなり、名クローザーになる。

試合終盤に「ワイルドシング」のテーマソングに乗ってマウンドに向かうシーンには興奮したものだ。

クローザーの登場曲でいえば、ヤンキースで活躍したマリアノ・リベラの「Enter Sandman」(Metallica)、パドレスで活躍したトレバー・ホフマンの「Hells Bells」(AC/DC)、さらにはメッツのエドウィン・ディアスの「Narco」は、トランペットが印象的に残る。

おススメの野球映画を挙げればキリがない。「さよならゲーム」「がんばれベアーズ」……さらには主題は野球ではないが、ジム・キャリー主演の「ライアー・ライアー」で、主人公の息子がキャッチボールをするときに「僕はノモ、パパはカンセコだよ」というシーンがある。

1997年の公開だから、野茂英雄さんが大リーグに鮮烈なデビューをして3年目になる。彼がアメリカでどのような存在であったか、よくわかるシーンである。

◆飯島智則(いいじま・とものり)1969年(昭44)8月6日、横浜市出身。93年日刊スポーツに入社し、東北地区のスポーツ全般を取材した後、東京本社野球部で98年ベイスターズの優勝、長嶋茂雄監督時代の巨人を担当し00年ONシリーズなどを取材。03年からは渡米してヤンキース松井秀喜選手に密着。05年からはNPB担当で球界問題を担当した。野球デスク、広告事業部、特別編集委員などを歴任し、24年限りで退社。現在は大学教員とスポーツライターの二刀流で活動している。

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