【インタビュー】第3回 元横浜ベイスターズ・内藤雄太さん③

「選手の危機管理能力を向上させたい」元横浜ベイスターズ・内藤雄太さん 現職での活躍のきっかけと新たな挑戦

現在玩具メーカーの「カシマヤ製作所」に勤める内藤雄太さん。

かつて横浜ベイスターズで8年間プレーし、11年の開幕戦ではこの年MVPに輝いた浅尾拓也投手からサヨナラ安打を放つなど、ファンの記憶に刻む活躍を見せた。

内藤さんのこれまでにフォーカスする企画最終回は、現在勤めるカシマヤ製作所へ入社したきっかけ、そして今後について語っていただいた。

2回はこちら

(取材 / 文:白石怜平)

15年、石川雄洋選手と筒香嘉智選手への紹介がきっかけに

現役引退後、2014年からスポーツ専門店「スポーツオーソリティ」で販売の仕事をしていた内藤さん。15年の春にある連絡が自身の元に届いた。

「この年の開幕前に当時の上司を通じて今の社長(西上茂さん)から連絡がありました。『Franklin のバッティンググラブを知ってるか?』と聞かれたので知っていますと。興味のある選手がいるか相談を受け、その時に石川雄洋と筒香嘉智(現:テキサス・レンジャーズ3Aラウンドロック)が頭に浮かびました」

カシマヤ製作所はこの以前から米国のFranklin玩具の日本総代理店を務めており、2015年からは野球のバッティンググラブにおいても同じく代理店を担当することになっていた。

NPBの選手を紹介してほしいという西上社長の要望を受け、内藤さんは2人のいる横浜スタジアムへ訪問。Franklinの良さを伝え、両選手に試してもらえることになった。

Franklinのバッティンググラブは現役・OB問わず名だたるメジャーリーガーの選手が数多く使用している。

かつてはメジャー最多の762本塁打の記録を持つバリー・ボンズ選手が代表格で、他にも12年に三冠王を獲得したミゲル・カブレラ選手、そして昨年62本塁打をマークしリーグMVPも獲得したアーロン・ジャッジ 選手も昨シーズン使用していた。

「2人は元々自主トレをアメリカで行っていて、メジャーリーガーの選手たちともトレーニングをしていました。それで、Franklinのバッティンググラブを付けているのを見ていたそうで、『前からカッコいいなと思ってました』と言ってくれました」

ベイスターズ時代の後輩にバッティンググラブを紹介したことが転機になった

この年は、ちょうど石川選手から筒香選手へベイスターズのキャプテンが引き継がれたシーズンでもあった。雑誌で新旧キャプテン対談の特集が組まれ表紙を飾った際も着用しており、選手の間で話題を呼んだという。

「さらに、2人とも外国人選手と仲が良いので、それでさらに広まっていったんです。バレンティン選手(元ヤクルト、ソフトバンク)や他球団の選手にも使っていただきましたね」

ただ、使用する選手が増える一方でカシマヤ製作所には野球経験者の社員は誰一人いなかった。選手からの需要があっても提供ができるリソースとノウハウがなく、内藤さんの力を借りないといけなかった。

「社長からは、『1シーズンやってみたけれども、やはり野球を知っている人がいないと厳しい』という相談を11月にいただき、一度お会いしました。おもちゃの仕事をやりながら野球を担当してもらえないかというオファーを受けて『ぜひお願いします』となりました」

当時は販売の仕事を2年間していた中で、かねてから自身に危機感を感じていた頃でもあった。

「名刺の交換はやる機会がありましたが、正直パソコンも全くできなかった。販売以外の業務をやりたいと考えていたので、いいタイミングだったのかもしれません」

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