【インタビュー】第4回 元ヤクルトスワローズ・宇佐美康広さん①

若松さんから受けた厳しい中での温かさ

プロ3年目、宇佐美さんは捕手から内野手へコンバートされた。一軍では球界No. 1捕手、古田敦也選手がチームの看板選手として黄金期を築き上げている真っ只中だった。

「壁が厚い云々の前にそもそも自分がライバル視する位置にいない」

と語る通り、雲の上の存在だった。自身もまだ一軍に1試合も出られていない状況。「3年目でもダメだったら厳しいと思っていた」と危機感を感じており、何かを変えなければいけなかった。

そのきっかけを与えてくれたのが当時の若松勉二軍監督。同じ北海道出身の”小さな大打者”は、同郷の後輩に手を差し伸べた。

「身長170cm、体重も当時70kgだったから、プロの中でも小さい方ですよね。 ただ、足と肩には自信があった。ここを活かすなら、内野で守備範囲を広げて打撃では小技を利かせようと。このタイミングでスイッチヒッターにも挑戦しました」

若松さんの進言で内野手へコンバートとなった

攻撃面ではシュアな打撃と盗塁、守備面では堅実な内野手を目指した方が一軍に上がるチャンスが広がると考え、若松二軍監督は宇佐美さんにコンバートを勧めた。

宇佐美さんも、「それで試合に出るチャンスをもらえるんだったら、何でも挑戦しようと思いました」と意気に感じた。また、若松さんは、”後輩”である宇佐美さんをすごく気にかけてくれたという。当時のやりとりを明かしてくれた。

「みんなの前ではすごく厳しかったです。ただ、キャンプ中とか風呂とかでばったり会って2人きりになると優しい声をかけてくれましたね。

『よく頑張ってるよな』とか、『このままやっていけばチャンスは必ず来るから頑張れよって』。そんな事みんなの前では絶対言わないですから(笑)でもこういうフォローもしてくれるので、厳しいこと言われても頑張れました」

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