10月6日（金）山梨市民会館にてJAIFA 関東甲信越ブロック大会が開催され、「未来へ」と題したトークショーに読売ジャイアンツ特別顧問・野球解説者の高橋由伸氏が登壇した。

野球をはじめたきっかけから高橋氏の「未来」まで、盛りだくさんの講演内容を一部抜粋してイベントレポートとしてお届けする。

後編は、監督業の難しさや、高橋氏の気になる今後のビジョンなどについて。

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（トークショーMC／文　中嶋絵美）

―現役時代は3人の監督（長嶋茂雄さん、堀内恒夫さん、原辰徳さん）の下でプレーされていましたが、それぞれ違うタイプの方でしたか？

みなさん巨人軍で長年チームの顔としてユニフォームを着てこられた方ばかりですから、根本は一緒。やはり勝たなくてはいけない、強くなくてはいけないというのは同じでした。その中で少しずつ違うのは、

長嶋さんはプロ野球を作りあげたような人たちですから、“いかに見てもらえるか”“いかに魅せるか”ということを非常に気にされていた方でした。常に球場にどのくらい観客が入っているのかとか、テレビ中継の視聴率の話もよくされていました。

とんでもない試合すると裏でめちゃくちゃ怒ったりしていたんですけど、負けても内容のいい試合だと「今日来たお客さんはよかったんじゃないか～」って、穏やかに帰られたりしていたので、勝つことと同じくらい“魅せる”ということを大事にされていた監督でした。

堀内さんは長嶋監督時代からユニフォームを着てこられて、チームの現状を知っていた方だったので、巨人軍を立て直さなければいけない、良くしなくてはいけない、ということを背負っていたと思います。

なかなか勝てなかったですけども、何年か先のために今我慢しなくちゃいけないこと、やらなければいけないことを感じて、取り組まれていたと思います。勝てないと周りは“正解”としてくれないですけど、僕は主力として、堀内さんのされていたことは理解していました。

原さんは一番勝つことへのこだわりが一番強い。

毎日勝たなくちゃいけない、毎年優勝しなくちゃいけないという使命を現役時代から背負って戦ってきた方で、勝つことの厳しさを知っている分、そこは僕らも教えられました。

非常に勝ちにこだわった監督なので、今回（の退任）も、責任をとらなくてはいけない、というところからだと思います。

―阿部慎之助新監督とは一緒にプレーもされていましたが、どんな方ですか？

彼も1年目からレギュラー、主力として戦ってきたので、ジャイアンツの置かれている立場を分かっていますし、2軍監督、1軍コーチを経験して、ここ数年勝てなかった厳しい現状も肌で感じ、今のチーム状況を一番理解して、やらなくちゃいけないことがハッキリ見えていると思います。

所信表明でも「強い巨人軍、愛される巨人軍」とのコメントがあり、“長嶋イズム”のような、巨人軍の伝統も理解してくれているので、期待したいです。

―由伸さんはコーチを経験せず監督になって、苦労した部分もあったのでは？

共にそれまで選手としてプレーしていたみなさんを監督として引っ張っていくのは難しかったですか？つい昨日まで、同じロッカールームにいたわけですよ。同じロッカーで同じ目線で首脳陣の愚痴話はしているわけですよ、多少なりとも（笑）

そんな会話があった中で、「こいつはこういうこと言ってるだろうな～」とかは想像できちゃうんですよね（笑）だからこそ彼らに“気持ちよく野球をやってほしい”というスタイルではありました。

急に監督になって、距離をとるのがいいのか、それまでの距離感で接した方がいいのかは難しかった。いまだにどちらが良かったのかは分からないんですが…。

あと監督の仕事って、当然試合の指揮をとるんですが、それ以外にもたくさんあって。それを教えてももらえないですし、全て手探りで進めなくてはいけないのは難しかった部分ですね。

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