12月15日、都内で「MEET＆GREET：BASEBALL MASTERS SUMMIT 2024」が開催された。球史に名を残したプロ野球OBが、往年の活躍を知るファンと再び交わる機会になった。

(写真 / 文：白石怜平)

持参したユニフォームは伝説の試合で着用

本サミットはプロレスや野球などのイベントを行っている「株式会社シャイニング」が主催。

事前や当日に購入したチケットでサインや2ショット写真の撮影が可能なイベントとなっている。7月に第一回が行われ大盛況となったのを受け、この日の開催が実現した。

前回も岡崎郁さん(元巨人)や山﨑武司さん(元中日ほか)など、多くがその名を知るプロ野球OBが参加したが、今回もラインナップは充実した。

一部・二部に分かれ、合計12名が登場した。

一部は、阿波野秀幸氏(元近鉄ほか)・与田剛氏(元中日ほか)・佐伯貴弘氏(元横浜ほか)・濱中治氏(元阪神ほか)・平野恵一氏(元阪神ほか)・吉見一起氏(元中日)の6名。

開始前から全員に大きな行列ができ、スタートを待ち侘びた。

席の横には持参したユニフォームが展示され、中には現役時代に実際に着用したものも。

現在台湾プロ野球「中信兄弟」で監督を務める平野さんは、今季チームを台湾シリーズ制覇に導いた。その中信兄弟のユニフォームを飾り、「台湾球界をアピールしたいです」と語っていた。

特に阿波野さんは近鉄時代のホーム・ビジターの2着を持参し、一部の前半後半でスイッチするなど”近鉄魂”を見せた。

ビジターはなんとあの伝説の試合「10.19」で着用したもの。優勝をかけ、川崎球場でのダブルヘッダーで2試合続けて登板した時の貴重な一着を披露した。

これに見入っていたのが佐伯氏。少年時代は近鉄ファンだったことから、「このユニフォーム着てみたかったんだよなぁ」と実物を見て感慨深い様子だった。

会が始まると場内は期待と熱気に包まれた。30年以上前のファンブックや現役時代のカードなど思い出の品を持ち、目の前に差し出すと本人たちも思わず驚いた表情を見せた。

与田氏は「昔の雑誌などを持ってきてくれたファンもいました。本当にありがたいことですよ」と来場者に感謝を述べた。

参加したOB同士にもあった”縁”

第二部も豪華なメンバーで彩られた。

参加したのは、辻発彦氏(元西武ほか)・広澤克実氏(元ヤクルトほか)・岩瀬仁紀氏(元中日)・渡辺俊介氏(元ロッテ)・井川慶氏(元阪神ほか)・安部友裕氏(元広島)の6名。

ここでも一部同様に開始前から長蛇の列ができ、開始を待ち侘びるファンが大勢いた。一部から引き続き参加した人もいるなど、会場内はここでも熱気に包まれた。

その中でも絶大な人気を誇ったのが岩瀬氏。NPB最多試合登板（1002）そして通算セーブ数（407）をマークしているかつての鉄腕は行列が開始から終了まで途絶えることがなかった。

また、辻氏の人気もすさまじく、ブルーやネイビーのライオンズグッズが列から一際目立つほどであった。

このイベントはファンと往年の名選手を繋ぐだけではなかった。参加したOB同士もかつて共に戦ったり、対戦した者同士がかつての思い出を語り合う場にもなっていた。

阿波野氏と与田氏は亜細亜大学の一学年先輩後輩で、中日では与田氏が監督・阿波野氏がコーチという旧知の間柄。お互いの近況や野球について語り合う姿が見られた。

そして、縁があったのが渡辺氏と安部氏。実は安部氏がプロ初安打を放った相手が渡辺さんだった。そのことを安部氏が渡辺氏に挨拶のために話すと、ここでも野球談義に花が咲いていた。

イベントは大盛況のまま惜しまれつつ終了。参加したファンにとって、憧れ続けた夢が現実になる空間となっていた。

（おわり）