後に悩まされ続ける”イップス”
森さんが社会人最後の1年で起きたこと。これは俗に言われる”イップス”に罹ったことだった。
イップスとは、スポーツの動作に支障をきたしてしまい、自分の思い通りのプレーができなくなる運動障害と定義されている。特に野球においてはポジション問わず主に投球動作の際に挙げられる。
森さんの場合は、365球投げてフォームが変わったことや公式戦での登板回避を申し出た際のやりとりといった様々な要因から心理的な影響を受けたことで発症した。
イップスになり、マウンド上でどんな心理的変化が表れたのか。高校時代の時と比較して解説してくれた。
「投手は通常、打者と対戦しますよね。僕はイップスになる前は特に強打者が来たらワクワクしていたんです。『絶対三振を奪おう』と思って投げていたのに、イップスを発症してからは打者と対戦する以前に自分と戦ってるんですよ。このメンタルの違いが大きいです。
考え方が完全に変わってしまって、要するに自分に対する不安ですよね。『ストライクが入らなかったらどうしよう』『当ててしまったらどうしよう』などと全く野球にならないんです。その不安が強いままプロに入っていたわけですよ」
すでに「心が折れた状態だった」という森さん。周囲をプロで見返そうという気持ちの余裕もなかった。そしてその不安はプロに入ってからも戦うことになっていった。
(つづく)
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