「掴んだはずのものが分からなくなり…」元広島・今井啓介さん 飛躍のきっかけからユニフォームを脱ぐまで迷い続けた4年間
かつて広島東洋カープで12年プレーし、この7月に鍼灸や運動塾などを展開する「カトレ奥沢」をオープンした今井啓介さん。
2013年には33試合に登板し、球団初のクライマックスシリーズ(CS)進出に貢献した。
しかし、飛躍のきっかけを掴みながらも14年以降成績が伸び悩み、17年にチームがリーグ連覇を達成した裏で現役生活にピリオドを打った。今回は現役生活の後半をお送りする。
(取材 / 文:白石怜平)
飛躍のきっかけは先輩からの喝
今井さんはプロ4年目の09年に一軍デビューし、初勝利も飾った。ただ、その後2年連続で11試合登板に終わり危機感を感じていた。
そんな時、ある先輩から発破をかけられた。
「11年のシーズン後半ごろに、東出さん(輝裕:広島二軍内野守備・走塁コーチ)に『何か変えなかったらこのままじゃまずいぞ』と言われました。今すぐに変えられるのは体からということで、そこから取り組み始めました」
東出さんからのゲキに奮起した
11年のオフからは広島市の「アスリート」に通った。金本知憲さんや新井貴浩現監督を始め、歴代のカープの選手が屈強なフィジカルをつくり上げた有名なジムである。
ここで今井さんも自らを追い込み、徹底的に強化を図った。手応えはすぐ実感できた。
「球速が上がったりして、球の質が変わってきましたね。効果をすぐに実感できましたし、そこで『こういうトレーニングも必要なんだ』と気づきました。11年オフに体重を一気に10kg以上増やして、翌年も継続して行いました」
12年には終盤に先発ローテーションに入り、9月以降で3勝をマーク。13年の自己最多登板に繋がっていった。